こんばんは。
社会保険労務士の森と申します。


来月からPayPay等によるデジタル賃金支払いが解禁になります。


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事業側としては、銀行振込よりは手数料が安い場合があり、労働者側としては、キャッシュレス決済の利便性のアップにつながるというメリットが挙げられています。

また給与の一部でもデジタル支払いが可能ですので、融通が効く部分もみられます。


とは言っても、以下のデメリットもありますから、導入に際し注意が必要です。

・事業側→管理の手間が上がるかも。
・労働者側→希望通りの資金移動業者(※1、2、3)を利用できない可能性や、100万円までしか利用できない。

※1 デジタル賃金支払は、事業所の資金移動業者の口座から、労働者の資金移動業者の口座に資金移動することで、給与支払いがされたことになる。
※2 デジタル賃金の受け取りには、資金移動業者の口座、(日本の)銀行口座の指定が必要。
※3 デジタル賃金支払制度の対象となる資金移動業者は、厚生労働省が認可した資金移動業者(指定資金移動業者)でなければならない。



デジタル賃金支払が実際運用できるには、数ヶ月ら半年?先になる可能性があります。
まず4月から厚生労働省でスタートされる、指定資金移動業者の申請及び認可のための審査が必要で、その審査の結果が出るには数ヶ月?かかるようです。
審査が通った資金移動業者は、厚生労働省のホームページで公表されているようですから、確認が必要です。

指定資金移動業者を確認できたところで、実質的にデジタル賃金支払を導入するために、事業主(会社など)と労働者を代表する人との間で、細かい取り決めを定めた労使協定を締結する必要があります。
そこには、
①利用できる指定資金移動業者
②デジタル賃金支払が可能な労働者の範囲
を定めることになります。

そのため、労働者個別が希望する資金移動業者が利用対象に入っていない場合は、デジタル賃金支払を利用できません。どうしてもデジタル賃金支払制度を利用されたいときは、労使協定に合わせて、別の指定資金移動業者の口座を開設するしかありません。

労使協定締結したら、デジタル賃金支払制度に関する、労働者への説明義務があり、かつ対象となりデジタル賃金支払を希望される労働者から同意書をもらう必要があります。
そこまで済んで、やっとデジタル賃金支払制度の運用をスタートさせることができます。


[デジタル賃金支払の運用手続きのまとめ]
①厚生労働省における指定資金移動業者の申請、審査
②指定資金移動業者の認可の確認
③事業所内における労使協定の締結
④事業所の、労働者に対する説明義務
⑤労働者から同意書提出


一旦運用しだすと便利な制度かもしれませんが、その準備段階で、すこし手間がかかりそうですね。






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